【なんて非効率的なんだ】
千葉印西のレタス畑に、32歳の柴海はいた。
「毎日毎日手で一本一本雑草を引き抜いていますから。葛藤はあります。雑草を手で取らなきゃならないなんて、なんて非効率的なんだと。でもそれしかないんです、うちはオーガニック農園なんで。」
400年続く由緒正しき農家の息子が有機農園を始めたのは2009年のことである。
「日本にはもっと安定的にオーガニック農産物を栽培、供給するためのシステムの構築が必要です。」
【盛り上がらない日本のオーガニック市場】
日本におけるオーガニック農場の割合は、全体の耕地面積に対してわずか0.5%である。日本の国としての目標は2019年までにオーガニック農場の割合を現在の2倍に増やすこと。しかし、目標とは裏腹に、日本のオーガニック市場の成長は欧米諸国と比べて驚くほど遅い。それは、柴海も言うように、日本はとりわけオーガニック農家を悩ます雑草除去や害虫対策に対して技術的な進歩、また国からのサポートが絶対的に欠けているからである。
2010年の統計によると日本には12,000のオーガニック農家が存在する。
健康や食の安全に対する異常なブームが世界的に起きている中、日本のオーガニック市場はわずか10億米ドル(1,096億円相当)の規模しかない。
ちなみに、世界のオーガニック市場は900億米ドル(9兆8,725億円相当)といわれ、国別ではアメリカが450億米ドル(4兆9367億円相当)、ドイツが110億米ドル(1兆2060億円相当) 、フランス、中国はそれぞれ80億米ドル(8770億円相当)、70億米ドル(7670億円相当)と日本のそれに比べて盛り上がり方の差は歴然である。
それでいて、各国の市場は今後も伸びる予想で、一方の日本は縮小傾向にあるという。
【日本人ママたちが日本のオーガニック市場の未来を担う】
それでも、街中を見れば、スーパーの棚にオーガニックや有機というフレーズは以前よりもよく見られるようになった。
特に30代、40代の日本人ママたちや、外国人居住者たちを中心にオーガニック食品へのニーズが増えているのも確かである。
市場に詳しい識者たちによると、こういった層の消費者たちからより幅広い年代の日本人たちへとオーガニックに対する関心が広まっていくことで、日本全体のオーガニック市場が盛り上がることを期待するしかないという。
引用記事: https://phys.org/news/2018-06-lonely-furrow-dirt-farming-japan.html