母乳を知る
【母乳は赤ちゃんに必要な栄養の宝庫】
人生の最初の数ヶ月において、母乳は、赤ちゃんの健康的な成長に必要なすべての栄養素を備えた唯一の食事です。ですから、母乳育児中はママ自身も健康で栄養バランスのとれた食事を摂ることを心がけなければなりません。赤ちゃんがビタミン、ミネラル、微量元素、および重要な脂肪酸などを十分に補給するためには、ママも新鮮な果物、野菜、全粒粉製品、また少なくとも週に1回魚を食べることが必要です。
小児科医の研究によれば、ビタミンDとフッ化物のみが母乳に欠けている栄養素で、ビタミンDが不足している場合、カルシウムの骨への吸収が妨げられ、このことはその後の成長にも影響を及ぼす可能性があるとされています。よって、生後1年目に十分な量のビタミンD及び虫歯予防に効くフッ化物を摂取することはとても大切であるといえます。
【母乳に含まれる主な成分】
1. LCP
LCP(オメガ 3&6)は、脳、神経系および視力の発達にとって重要な役割を持ちます。乳幼児の身体の発達のために最も重要なLCP脂肪酸はアラキドン酸(AA)とドコサヘキサエン酸(DHA)です。 これらの成分は母乳にも含まれています。
オメガ3は、脳および神経細胞の発達、特に幼児期において重要です。 生まれてから最初の2年間では、脳が特別な方法で成長するので、オメガ3脂肪酸の定期的な摂取が特に重要です。乳児の毎日のエネルギー必要量の0.5%はオメガ3脂肪酸で補われるのが理想的です。
2. 天然乳酸菌
母乳には、赤ちゃんが腸内の善玉菌を増殖させるのに役立つ乳酸菌が含まれています。この乳酸菌が赤ちゃんの腸内に定着し、悪玉菌の増殖を防ぎます。免疫機能の70%が腸内にあるといわれている中で、母乳育児の赤ちゃんが一般的に健康的で病気にかかりにくいとされている理由の一つでもあります。
3. ガラクトオリゴ糖
オリゴ糖は赤ちゃんの腸内の善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌)のエサとなり善玉菌を増殖し、有害な細菌やバクテリアの増殖を抑制します。それによって健康な腸内環境を保つことができ、病気になりにくい体質にします。
4. その他の大事な栄養素
母乳には、他にも赤ちゃんの健康的な成長に欠かせない重要な成分が含まれています。
免疫グロブリン、リゾチーム:細菌の腸管内での増殖を抑制し,体内に侵入することを防ぎます。
ラクトフェリン:体内への鉄分の吸収を促進させ、同時に抗菌・抗ウィルス作用もあります
母乳には、まだ研究では明らかになっていない成分も多く含まれています。